僕は、約束の時間より少し早めに着き、無造作に置かれたベンチに座った。

なんだか落ち着かなくて、何度もスマホをみた。


18時。


授業終了のチャイムが鳴り、各教室から学生が流れ出てくる。

学生の波が落ち着き始めた時、彼女の姿が見えた。

「ごめん。待った?」

彼女が僕に声をかけた時、隣に見覚えのある男が立っていた。

「ちょっと場所を移そう」

彼女はそう言って、7号館の裏に回った。


そこにいるのは、彩香と僕とそしてあの人―学人さん。

「話があるの」

彼女が切り出す。

「私、好きな人がいるの。」

彼女の言葉は誰に対して発されたものなのだろう。

ぼんやりとそんなことを思った。

「やっぱり、どうしても好きなの。だから、私、ちゃんと自分が好きな人と付き合いたいの。」

だから、


彼女はそこで言葉を切った。