桂碁たちがちょうどコンビニを出たときのことだった。

「桂碁、今話しあるんだけどいい?」

「どうしたの?急に」

このときの真奈の様子は桂碁に告白した真紗実と雰囲気が似ていた。

「桂碁。私さ、ずっと…ずっとあんたのことが好きだった。付き合ってくださいって言いたいけど、桂碁は椎ちゃんのことが好きなんでしょ」

「うん、好きだよ。それで、真奈は俺が華のこと好きだって気づいてたの?」

「暇さえあれば桂碁のこと見てたしね。ていうか桂碁めっちゃわかりやすかったし。

ねえ、やっぱり私じゃダメ?」

「はっきり言いにくいんだけど、ごめん。でも、俺はこうやって皆といるだけで幸せだよ」

「そっか…」

とだけ真奈は言った。

けれど、桂碁は今、真奈の想いに答えられなかった申し訳なさでいっぱいだった。


「真奈…」


気づくと桂碁は真奈のことをそっと抱きしめていた。