気づいてないことに思いを寄せて、そのまま視線を逸らさず見つめる。



数秒も立たぬうちにふいと横に逸らされた視線にあからさまに肩を落とす。


……うん。でもこれで今日は生きてける。



ただ目が合ったと自分が思っているだけなのにそれだけで元気になるなんて、なんて安い女なんだろう、なんて自分を可哀想だなんて思う。




ふと、彼が視線を向けた方につられて視線を向ける。

彼が向いた方は、彼女のほうではなくて彼のもう片方の隣にいた男子生徒だった。



あ…。隣に、人、いたんだ。


あまりにふたりだけの空間すぎて今の今まで隣の存在に気づけなかった。



明るい茶に染められたミディアムヘアの彼は、私が想いを寄せる相手に負けず劣らずのいでたちだった。




さすが……イケメンの隣にはイケメンだ。