7回目のデートはいつもと変わっていた。

いつもは土曜日に会い、ランチを食べ、観光し、夕食を食べて帰る、
服もひざ丈のスカートやワンピースなどの女の子らしい服。

食事するレストランや、観光も全て、藤沢さん任せ。

今回会うのは、日曜日の夕方、初めて食事する店をリクエストした。


ただの食事じゃないわ、戦いよ!!

少しずれた気合を入れる。


服装はフォーマルコーナーで買ったドレス、
鞄も小ぶりでフォーマル感のある物にしている、
髪はアップにし、メイクもくっきりしたものにしていた。

パーティに出席する事になり、自分なりに勉強しようと、
マナーの本を3冊買った。
フォークの使う順番や魚の骨の取り方など完璧なはず。

つまり、今回のデートは、パーティに出る前のマナーの総括と言った所なのだ。
(もちろんこれは藤沢さんには内緒にしている)

例によって、駅からロータリーに出ると、藤沢さんが待っていた。

「お待たせしました」

最近はすっかりくだけた口調で話しているが、今晩は気合のせいか、
少しかしこまった口調になる。

「ようこそ」

藤沢さんも、口調を合わせ、車のドアを開け、エスコートしてくれる。

ドレスを着ていきますとしか、伝えてなかったが、
リクエストした店から察したのか、
藤沢さんも黒のスーツをぴしりと着こなしている。

今まで全てお任せでいたのに、急にリクエストした私に何も聞かず、
いつものように無言で車を走らせる。

「寄りたい店があるんだけどいい?」

「ええ」

レストランの予約の時間まで、さほど時間がないので少し心配しながらも、
同意した。