喫茶店を後にして、再びドライブ、
えっと、と考える。

3か月前付き合い始め、1週間前に一緒に住み始め、
今日婚約指輪を渡される・・・
まあ、寝ちゃったけど、キスしたのだって、昨日が初めて・・・

流されているとは思っていたけど、
このままでいいの?

1週間前に、本気で好きか考えるって決めた、
その私はどこ?

ぐるぐる考えるが答えが出てこない。

それなのに、話だけはすごいスピードで進んでいく。

好きか考えたいって言ったって、もう今更って感じになっていく。

不思議なぐらい、ご両親と直哉さんには迷いがない、
私で16人目の彼女なはずなのに・・・

あ、パーティに出たのは私だけか。

私のせい?

ちゃんと待ってと言った方がいいのかな。

そう考えつつも、いつもの癖で車の中では何も話せない。

そうしているうちに、車は家に着く。

「ただいま」

直哉さんと一緒にそう言って家へ入る。

もう完全に家族。

居間へ行った時、思い切って口を開く。

「直哉さん」

ん?と振り向く。

「気持ちは嬉しいわ、でもまだ、付き合って3か月でしょ、
もう少し普通にデートとか」

「デートするのはいいけど、結婚は早くしたい」

「どうして?」

「昨日、万里香が焼いてくれたクッキーを食べて思ったんだ、
万里香しかいないって」

「クッキー作っただけで」

首を横にふる。

「僕は母さんと仲が悪かったんだ」

今までそんな風には一度も見えなかったのでびっくりする。

「母さんは仕事大事で、子供心に寂しく、そんな女性は嫌だと思った」

「でも実際付き合ってみると、
仕事を軽くとらえる女性達とは上手くいかなかった」

「母さんはお菓子を作ってくれた事なんてない」

「仕事を大事にしながらも、寂しさを埋めてくれる、
そんな女性は万里香しかいないんだ」

そういって、優しく抱きしめられる、
胸の中にすっぽりと包み込まれるような、安心感があった。

予想していなかった告白に心が揺れる。

体を重ねる事だって嫌じゃなかった、

本心から必要だと思われている、

なら、好きって思っていいよね。

そう、答えを出した。