「信じられない!犯罪よ!最低!!」

京子さんはぷりぷり怒っている。

部屋を荒らされた、当の本人はのほほんとしていた。

「会社関係の人の可能性がある事は分かるけど、このままはしゃくだわ」

京子さんは、事情を聞くと、車でアパートに迎えに来てくれ、
一人暮らししているマンションに泊めてくれた。

2LDKのマンションはメイクグッズや練習用のウィッグであふれかえり、
大きな本棚には美容関係の本や雑誌が、ずらりと並べられている、
家電も一通り揃っており、自分とは対極だなと感じていた。

「直哉さんに連絡しなくていいの?」

「ん」

正直迷っている、本気で好きか考える事にしたばかりなのだ、
迷惑はかけたくない。

クッションに顔をうずめた私に、それ以上何も言わず、
もう寝よう、と勧めてくれた。