レストランへ着くと、腕を差し出してくれて、腕をからませ店に向かう。

店はクラシックが流れ、大きな花瓶に生けられた花が迎えてくれた。

支配人と思わしき男性が、丁寧に頭をさげ、席に案内してくれる。

藤沢さんが、椅子を引き、腰かける。

内心、緊張でいっぱいだが、表情はにこやかであるよう気を使っている。

「乾杯しよう、ワインは何がいい?」

「ワインは詳しくないので、お任せするわ」

「分かった」

ソムリエがやってきて、テイスティングをする。

そこで蒼白になった。

とは言え、気合で表情はにこやかなまま、心臓はばくばくいっている。

テイスティング?マナーの本に載ってなかったわよ!

とりあえず、藤沢さんを気づかれない程度に注目する。
ワイングラスを傾け、においをかぎ、少し味わい、これでと告げている。

同じように見えるように振舞い、同意を告げる。

まだまだね、心の中で呟やいた。