言い出すのが怖かった。
でも、言わなきゃ何も始まらない。
もし駅員さんがあのお兄さんだとしたら、まだ彼女と付き合っているかはわからないけど
付き合っているのなら、私は好きになった瞬間失恋決定ということになる。
だけど、あの頃から前に進まなければいけない。
私は意を決してバグバクうるさい心臓を落ち着かせた。
「ねぇ…駅員さん…?」
「なに?」
「いきなりなんだけど…駅員さんは…あの時の…お兄さんなの…?」
聞いてしまった。
もう元には戻れない。
答えから逃げたかった。
目をそらしたかった。
でも私の体は駅員さんの目をとらえて視線を外さなかった。
