嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~

「分かりました」

「サンキュー、麻里奈ちゃん! また、風船とか必要な物を用意しといてな」

「はい……」

返事をしながら視線を向けると、町田さんは道連れができたことが嬉しいのか、ほっとしたような表情を浮かべていた。

会議室を出て、給湯室へ向かう。
持っていたお盆を棚に置き、小さく息を吐いた。

バルーンアートか……。
正直にいうと、不安しかなかった。
実は、私はそんなに器用な方じゃない。
風船をひねって形を作るなんて、簡単にできる気がしない。
きっと、何度も失敗して風船を割ってしまうだろう。

でも、せっかく任せてもらった仕事なので、できるだけ頑張りたい。

練習を重ねて、少しでも綺麗な形で渡せるようにならないと。
そんなことを考えながら自分の席へ戻った。

パソコンを開くと、すぐに検索を始めた。
バルーンアートに必要な道具、初心者でも作りやすい作品。
失敗しないためのコツや注意点など、気になったことをメモに書き留めておく。

思ったよりも、準備する物は多そうだった。
特に風船は、練習中に割れることを考えると、かなり余裕を持って購入していた方がよさそうだ。
購入する物を整理しながら、今泉部長に相談する内容をまとめていく。

初めて任されたイベントの仕事に、自然と気持ちが引き締まった。