「なんだ、町田さんは彼女持ちかよ」
ホッとしたように息を吐く。
さっきまで不機嫌さマックスだったのに。
それより町田さんの彼女のことを口止めしておかなくちゃ。
新庄くんは言いふらすような人じゃないけど、万が一ってことがあるから。
「絶対に誰にも言ったらダメだからね」
「はいはい、分かってるって」
念押しするように言うと、当たり前だろというように頭をポンポンと叩かれた。
「町田さんもズルイよな。俺にはいつも絡んでくるくせに自分のことはなにも言わないんだから」
新庄くんはボヤいている。
飲み会の時、散々絡まれているから愚痴の一つや二つ出るだろう。
「まぁ、いいや。次の飲み会で俺の彼女は桜井だってバラしてやろうっと。絶対みんな驚くぜ」
いいことを思いついたとばかりに楽しそうに言う。
そんなことをされたら私まで他の社員の人に絡まれるじゃない!
「ちょっと、それだけは絶対に止めてよ」
「なんでだよ。ホントのことなんだから言ってもいいだろ。違うのか?」
不服そうに口を尖らせる。
「違わないけど、それとこれは別って言うか……」
「また太田さんに男を紹介されるなんてごめんだからな。桜井は俺のものなんだから」
垣間見える独占欲にドキッとする。
「もっと桜井に触れてもいい?」
艶やかな声が鼓膜を揺らし、今までに見たこともないような熱を孕んだ瞳と視線がぶつかった。



