「入社して三ヶ月が経った頃、仕事でミスして先輩にすっげぇ怒られて落ち込んだことがあったんだ」
入社して三ヶ月か……、その時の記憶を呼び起こす。
確かにその頃はお互いにミスをしていたような覚えがある。
二人で飲みに行った時に悩みを相談したり励まし合ったりしていくうちに、なんでも言い合えるぐらい同期として距離が近くなった。
そして、私は新庄くんのことが気になり出したんだっけ。
「そのミスを取り返そうと必死に仕事してたから、飯を食うのを忘れることは日常茶飯事だった。しかも、付き合っていた彼女と揉めていた時期でもあったんだ。前々からすれ違いが続いていて些細なことで喧嘩が増えていた。入社したばかりで自分のことに精一杯だったから彼女のことまで思いやれなくて……。そんな状態に我慢できなくなったのか、向こうから別れを切り出してきたんだ。『これ以上、あなたとは付き合えない』って。最低だけど、俺は彼女と別れてホッとしたんだ。これで仕事に集中できるって」
当時を思い出しているのか、自嘲気味に笑う。
知らなかった新庄くんの過去を聞き、複雑な気持ちになる。
「正直さ、桜井のことはなんでも話せるただの同期としか見ていなかった」
どうしてここで私の話が?
いきなり私の名前が出てきて動揺する。
それより、“ただの同期”とハッキリ言われると辛いものがある。
まぁ、私も最初はそう思ってたんだけど。



