嘘をつく唇に優しいキスを


この前の飲み会の時の結婚話はなんだったの?
相手がいるから、将来的にしたいとか言ったんじゃないの?

もう、なにがなんだか分からない。
頭をかきむしりたい衝動に駆られる。

「かなり前っていつ?」

「んー、一年以上前」

顎に手をあてて考えてから口を開く。

はぁ?
そんな前に別れてたなんて……。

彼女とは別れているのに、どうしてそれを隠していたんだろう。
なにか理由がある、とか?

「じゃあ、なんで彼女がいる振りをしたの?」

「あー、それは別れたことをいちいち会社の人に報告するのが面倒だったからそのままにしてただけ」

な、なんですってー!
衝撃の答えに言葉も出ない。

「し、信じられない……」

新庄くんに彼女がいるというのを一年以上も信じて悩んでどん底まで落ち込んだっていうのに、それはないよ。

まさかの話に力が抜け、崩れ落ちそうになる私の身体を新庄くんはしっかりと支えてくれ、ソファに座るように促された。