自分の身体が浮いていることにギョッとした。
これって、女子の憧れのお姫様抱っこというやつじゃないの?
夢のようなシチュエーションがまさか自分の身に起こるなんて想像もしていなかった。
しかも、相手があの新庄くんだなんて動揺しないはずがない。
「ちょっと恥ずかしいからおろして」
「危ないから暴れんな。歩いて家までと思ったけど、さすがに無理だからちょっとタクシー使うわ」
そう言うと、そのまま歩き出し駅前のタクシー乗り場へ向かった。
この羞恥プレイに耐えられなくて、どうにか抗おうとした。
「いいよ、自分で歩けるから」
「うるせぇな。おとなしくしないと今すぐキスするぞ」
えっ?
今、なんて……。
衝撃の言葉にピタリと動きを止めた。
「いい子だ。そのままおとなしくしてろよ」
フッと笑い、子供に言い聞かせるような優しい声を出す。
私の心臓はバクバクとうるさく音を立てている。
さっきのは冗談だったの?
新庄くんの言動に振り回されて身が持たない。
そんな私の状態はお構いなしに新庄くんは真っ直ぐ前を向いて歩いている。
これは流れに身を任せるしかないと悟り、抵抗することをやめた。
私は人の目が気になり、顔を隠すように新庄くんの胸元に向けて目を閉じた。



