バリバリの体育会系で学生の頃はサッカーをやっていたらしく、筋肉はしっかりついている感じ。
いつもは作業服なのに、今日は珍しくスーツを着ていた。
そのせいで、普段とのギャップにドキッとしたりして。
「それはいいけど、貸しだよ」
「うっ……、めちゃくちゃ不本意だけど仕方ない。会議の時間が早まって今から営業先に行かなくちゃいけなくなったんだ」
新庄くんはため息をつき、私はその姿を見て思わず笑みがこぼれる。
営業は仕事量が多く、端で見ていても大変そうだから、私に出来ることがあれば手助けしてあげたいと思っている。
だけど、素直に手伝ってあげるとは言わず、いつもこうやって頼みごとをされた時は“貸しだから”と言っている。
同期という対等な立場とはいえ、そう言った方がより気がねなく頼めるんじゃないかなと勝手に思っている。
このやり取りは定番になっているけど、実際にその貸しを返せとか言ったことは今までない。
「これ、クリップじゃなくホッチキスで留めていいんだよね?」
「あぁ、出来たら俺の机の上に置いといて。じゃ、よろしくな!行ってくる」
「了解。行ってらっしゃい」
新庄くんは鞄を手に慌ただしく会社を出て行った。
私は渡された資料を一部ずつ束にしてホッチキスで留めていく。
出来上がった資料の束を新庄くんの机の上に置いた。



