「だったら作ってみたらいいじゃない。でも、私の方が新庄くんより早く作れるけどね」
「言っとくけど俺は手先が器用だからな。桜井と違って。もし、俺の方が先に上手く作れたらなんでも言うこと聞けよ」
「はぁ?意味が分かんない。それとこれとは話が違うでしょ」
「ふーん、自信がないんだ」
新庄くんは意地悪な笑みを浮かべ、挑発するように言ってくる。
ホントにムカつく。
久々の新庄くんとのやり取りでヒートアップし、挑発に乗ってしまった。
「そんなことないし!新庄くんの方が先に出来たらなんでも言うことを聞けばいいんでしょ。じゃあ、私が先に出来たら新庄くんが私の言うことをなんでも聞いてよ」
「あぁ、約束だからな」
お互いに言い合いを始めると、帰り支度をしていた北見さんがクスクス笑っている。
「久々にこのやり取りを見たわ。二人の掛け合い復活ね!」
「北見さん、なに呑気なこと言ってるんですか。二人ともその辺で終わりにしなよ。ほら、麻里奈ちゃんは定時過ぎているんだから早く帰りな。新庄はまだ仕事残っているんだろ」
町田さんに言われて私は黙り、新庄くんも自分の席へと戻っていった。
「麻里奈、途中まで一緒に帰ろうか」
「はい」
私は片付けを済ませると、バッグを手に「お先に失礼します」と声をかけ、北見さんと一緒にフロアを後にした。



