ふと、受付のカウンターの隅に子供が好きそうなキャラクターシールが入っている箱が目に入る。
その隣には、折り紙で作ったかごの中にビーズで作った指輪や十円玉サイズの小さなぬいぐるみが入っていた。
私はその中のひとつを手に取った。
「唯香ちゃん、これって手作り?」
「あー、それね。時間が空いている時に作ってみたの。ちょっと目と鼻のバランスが悪いけど」
「作ってみたのって唯香ちゃんが?すごいじゃん。全然バランス悪くないよ!唯香ちゃんて器用なんだね」
感嘆の声が漏れた。
胴体のない顔だけのぬいぐるみだったけど、細かい部分までちゃんと作られていた。
目のところは小さい黒のビーズを使ったり、ヒゲの部分は黒の糸で縫っていたり。
私は不器用なので、こんな可愛い物が作れる唯香ちゃんが羨ましい。
「そうでもないよ。結構、適当に縫ってるし」
「適当に見えないよー。ホント、すごい!可愛いし」
絶賛すると、唯香ちゃんは恥ずかしそうに「ありがとう」と微笑んだ。
「これって子供にあげるの?」
「そう。毎回、治療が終わるとシールをあげていたんだけど最近はいらないっていう子も増えてきて……。特に男の子は『いいのがない』ってハッキリ言うんだよね。嬉しそうにもらってくれる子は多いんだけど」
そう言って苦笑いする。