「なんだい、お節介って。あたしの知り合いの息子なんだけどね、年齢は三十才、商社に勤めていて真面目な男らしいんだよ。いいお嬢さんはいないかって聞かれていたから、ちょうどいいじゃない」

いやいや、ちょうどいい訳ないですよ。
それは完全にお節介ですよー。

薦めてもらっても困るんですけど。
言いにくいけど、ここはやんわりと断ろう。

「ありがとうございます。でも、今はまだ考えられないので……」

「会うだけ会ってみなよ。セッティングするから。ちょっと待っててね」

「えっ、」

あまりの急展開に戸惑っている私を無視して、太田さんは携帯を取り出し電話をかけ始めた。

ちょっと、ちょっと!!!
太田さんは一体、何をしてくれてるのー?

突然のことに唖然としていると、北見さんがタルタルソースのたっぷりかかった鶏の唐揚げを私の目の前に置く。

「こうなったら太田さんは手が付けれないよ。しかも酔っているから余計に突っ走る傾向があるし」

太田さんを横目で見ながら言う。

「取りあえず、気の済むようにやらせとくしかないよ」

北見さんの言葉に半泣きになりながら唐揚げを口の中に入れた。


「えっ、新庄って結婚すんのか?」

っ!!!

耳に飛び込んできたバカでかい声に驚き、唐揚げを噛むつもりが内頬を噛んでしまい、身体が震えるぐらいの痛みが走った。