嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~

改札を抜けて空を見上げると、鈍色の雲が一面を覆い、今にも雨が降り出しそうだった。
思わずため息がこぼれる。

分厚い雲のその先は、なにも見えない。
まるで、私の恋の行方のようだなとぼんやりと思う。

――叶わない恋だと、分かっているのに。

嘘で塗り固められたこの気持ちは、あの雲と同じように灰色に染まっている。
どうしようもない想いを抱えたまま、重い足取りで会社へ向かった。