ーSide 千秋ー


それは、ある放課後の出来事だった。



午後の授業をさぼって、俺は屋上のベンチに横たわっていた。



すると、綺麗な音色が聞こえた。



この音は何なんだろうか。




ゆっくり目を開けて、体を起こした。




あの子はたしか…




成績優秀で、学年1の美少女だっていう噂が流れていた。





「桐崎!」





急に、後ろから大きな声が聞こえた。






「なんだよ、お前か。

ビビらせるなよ。」






「先生に向かってお前とはなんだ!

お前はまた午後の授業をさぼったのか!」





「うるせぇな。」





「いいから、職員室まで来い。

授業プリントが届いてる。」





「いらねぇよそんなの。」




「だめよ。」




俺と先生の会話の中に、さっきまで楽器を吹いていた少女が入ってきた。







「お前には関係ないだろ。」




「授業さぼるなんて、高校生がすることじゃないよ。

学生の私たちは、学ぶことが仕事なんだから。」






「なんだよ、お前。」





「私は、2年3組の秋元心音。

君は、桐崎千秋君だよね。」




「何でお前、俺の名前知ってるんだよ。」





「学級委員の仕事だから。」





「は?」





「みんなの名前を覚えて、クラスを良くすること。

私に課せられた指名だから。」





こいつ…。



学校で、美少女と噂になっているものの、性格は変わっている。





てか、面倒くさい。




「休むなら、ちゃんと担任の先生に伝えなさい。」






「お前、いい加減に…」






「秋元、もういいから。」





その少女は、胸を抑えてしゃがみこんでしまった。






「すみません…。」





「体調、悪いのかよ。」





「いや…別に。


何、あなたにもそんな優しい心が残ってるわけ?」






何か企んでいるような目で俺を見た。





「そんなんじゃねえよ。

自惚れもいいところだな。

俺は、職員室にもこのクラスにも行かない。

だから、お前の目的は俺のことを含めなくていい。

じゃあな。」




今日は寝すぎたな。





おかげで、めんどくさい奴に目をつけられたし。





でも、さすが学校中が認める美少女だったな。




そりゃ、噂になるよな。




今日は、飲みにでも行くか。





気分も晴れないしな。





いつもと違うところで飲みに行こう。





酒がないとやってらんねえ。






「おう!桐崎!


今日も飲み行こうぜ!」





俺に声を掛けてきたのは、高校に入って友達になった早瀬夏也。





「あったりまえだろ。


早く行くぞ。」





そこから、30分した所の小さな個人店の店に入った。