門の前には
案内をする在校生や職員、
浮き足立った新入生、保護者、
様々な学校関係者がごった返していた。

騒がしい人混みを滑るように避け、
門をくぐった私は
さっさと受付を済ませて会場へと向かった

チラリと見えた、顔を知るものに気付かれないように。




受付でもらったパンフレットやプリント類を持ってきたリュックへと押し込む。

代わりに上靴を取り出し、
そのまま人の間を縫って進み、
流れるように靴を履き変える。


脱いだ靴を仕舞いながら
再びパンフレットを手に持ち、
所定の席を目指す。



周りの生徒達はそわそわと落ち着かない様子に対し、
ユキは落ち着き払った様子で目的の席へと座る。


座る際、いつもの癖で長い髪を肩に流そうとし、はっと気づいたユキはそのまま何も無かったかのように席に着く。

白く透き通る肌と同じ色をしていた、太ももまであった長い髪は、
もうその面影すら残さないほど、肩に触れる程度に短く、人工の光に照らされて黒々と光っていた。