ふわりと桜が舞っている校門をくぐると、春だなって感じるのは私だけだろうか。

その雰囲気や匂いで、新学期だなと思うのは私だけだろうか。



「さくら、おはよう。」


私は自分の前を呼ばれて振り返る。


「あ、結(ゆい)!おはよ。」


荒山 結(あらやま ゆい)。

地毛なのに茶色で綺麗な髪はお母さんからの遺伝らしい。
ボブの髪が風で揺れていて、今日の結は一段と可愛く見える。
結は、この学校で一番といってもおかしくないくらい可愛い。


そう、私、相澤 さくら(あいざわ さくら)と違って。
黒い髪につり目のこの顔がいろんな人に怖がられる。
結がいなかったら、今にも私は1人で独立してしまっていただろう。


「さくら?どうしたの?」


結が不思議そうに顔を覗かせてくる。


「ううん。1年もたったんだなーって。結が去年の入学式の日に話しかけてくれて以来。」


あの日、

ほんとうに結に救われた。