「私、切りましょうか? 先輩ほど上手くないけど」 「だめ。」 「なんで?!」 「だってここは、俺の聖域だから」 「でも泣いてるし。」 「泣いてないから」 なんだ、この意地っ張りの21歳は。 「コンタクトでもしみないって 聞いたことあるのに」 ぶつぶつ言いながら、 残りの玉ねぎのスライスを再開する先輩。 私は、ピザが焼けるのを待ちながら、 先輩の後ろ姿を見ていた。