「じゃあ、見に行きましょう」
私は、窓に近づいた。
先輩の部屋は、このアパートの2階。
高台にあるこの学生街からなら
見えるのではないか。
私は網戸を開けようとした。
「実紅ちゃん」
後ろから先輩が私の名前を呼ぶ。
そして、
網戸にかけた私の手に、
先輩の手が重なる。
「そっちからは見えないよ。」
そう言って、
すたすたと部屋の出口に歩きだした。
私は慌てて、先輩の背中を追う。
・・・ちょっと、ドキドキしちゃったじゃん。
先輩は先にクロックスを履いて、外に出た。
お祭り、行くの嫌なんじゃないのかな?
でも、
玄関を出てすぐ、外に出た理由がわかった。

