先輩はそのまま私の家に上がった。



「バイト終わってすぐだから汗臭いわ」


とか言ってたけれど、そんなの気にならないくらい緊張した。




「カルボナーラ、食べるんだよね。

ちょっと冷蔵庫開けていい?」




そう確認して先輩は冷蔵庫の中身をチェックした。




「牛乳も生クリームもない、か。」





「いや、あの、別にカルボナーラじゃないとダメなわけじゃなくて、ですね。」


「せっかくだから作るよ。ちょっと買い物に行ってくるから。」




止める間もなく、先輩は出て行った。



私はその間に鍋にパスタを茹でる用のお湯を沸かす。



10分くらいでお湯が沸き、火を止める。



何もすることが思いつかない頭で、ほんやりとしていた。





鍵をし忘れた玄関のドアが開いて、先輩が靴を脱いで買い物袋を手渡した。



いつの間にか時計は10時半を回っていた。


「お湯沸いてます」


私は報告する。