時計を見ると9時半を過ぎていた。
どちらともなく、カバンを持ち、腰を上げた。
会計を済ませ、店を出る。
駅へと続く通路の人はまばらで、さみしさを感じた。
「送ろうか」
彼はそう言ってきたが、私は断った。
彼の家は、私が帰る電車とは違う方向のに乗って2駅ほどのところにあるらしい。
改札で私たちは別れた。
「今日はありがとう。初めてこんなに話したけど、すごく楽しかった。」
彼はそう言って手を振った。
「私の方こそ、ありがとう。それとごちそうさま。ほんとうに楽しかった。」
気を付けて帰ってね。
私も彼に背を向ける。
「あのさ」
私の背中に、呼びかける。
「あのさ、また、ごはん行こう」
振り返ると彼はそう言った。
私は首を縦に振る。
もちろん。
そういう意味を込めて。

