幸せの静寂

 その後、巫君と控え室へ戻ると、すでに、皆は準備万端なようだった。
「その様子だとうまくいったみたいだな。」
キャプテンが嬉しそうに言った。
「はい。皆さんのおかげです。ありがとうございます!」
みんなが笑顔で応えると、コーチが背筋を正して言った。
「よーし、お前ら。残すは、全国大会だ。キャプテン。」
「はい!…先ずは、目の前の一戦だ!絶対に勝つぞ‼」


 「冬香、元気そうで良かったね。」
「…うん。」
未稀と 碧が話している間も真澄はずっと鼻をかんでいた。
「ちょっと、真澄かみすぎじゃない?」
「だって、止まらないんだもん。」
「…折角のシリアスシーンが…」
「碧って、そんなキャラだったっけ?」
碧に未稀がツッコミをいれる。すると、突然真澄が胸を張って叫んだ。
「目指せ!全国優勝!」
「いやいやいや、勝つのは私たちだし。」
「違う。…私達…だし。」
すばやく、未稀と碧が反論する。しばらく、皆でにらみ合う時間が続いた。
「ふふっ。ハハハ。」
真澄が笑いだした。
「懐かしいね。この感覚。」
「うん…中学の時も…皆で、競いあってたね。」
「あ、そうだ。碧、未稀!一回戦なんかで負けたら承知しないからね。」
ニっと笑いながら言った。
「真澄こそ。」
「あ、ねぇ。この…三人のなかで、一番最初に負けた人…は冬香と私達に、ごはんをおごる…っていうのは、どう…かな?」
「いいねー。それ。」
「のぞむところ!」
 それぞれの選手が、様々な思いを抱えて、自分の青春をかけて、全国大会へ挑んだ。

ー結果ー
菱川高校 ベスト10
成南高校 ベスト10
楊千高校 ベスト8
有翅高校 ベスト4

 真澄が自分を含めて、四人のごはんを奢ることとなった。