手帳から何かカードを出す。


「昨日、沼尾さんがタバコの箱を手提げに入れようとしたとき、落としたものです。」


あのクリニックの診察券。

あのクリニックの近くにコンビニあったっけ。


「沼尾さんは、これを落としたのを気づかず去って行ったので。お医者さんに住所とか聞いて、 返却してあげてほしいです。」

「返却?」

「財布に入っていないなら、すぐ出せるようにしているかもしれません。よく行くところだと思います。」

「わかりました。」


なるほど。

よく行くところだから、すぐ出せるように。


日西さんは、ピンク色のかわいい腕時計を見ている。


「もうすぐ彼と出かける時間なので。」

「はい。詳しいこと、ありがとうございます。」


日西さんは、警察署をあとにした。



沼尾さんの診察券。


クリニックを調べたけど、今日いきなり訪ねるなんて無作法だと思うから行かない。


だからそのクリニック電話して、診察時間が終わった明日の夜に訪ねることにした。