ずいっと縮まる距離。

にんまりとした三日月の目を前に、視線が定まらない。


「えっと、その……」


私が、宗谷くんのことを??

な、なんて答えたら……。


「芽衣?」

「っ!」


いやーー!

そんな顔で見ないで〜っ!

目に映るその表情に、ますますパニックになる。



「わ、私は……」


誰か助けて〜!


しかし神は私を見放さなかった。


──キーンコーンカーンコーン。


鳴り響くその音に、涙が出るかと思った。

ありがとう神様……!

ありがとう、チャイム様……!


「ほら、授業始まるわよ?」


何食わぬ顔で言うと、二人は「ちぇっ」とつまらなそうに席に戻った。