「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。ありがとう」
私は早口でそう言って、ケーキの箱を受け取った。
「3種類あるけど、好きなの選んでくれていいから」
「わかった」
「全部食べちゃってもいいのよ?」
「え、遠慮しときます」
「ふふっ、冗談よ。じゃあ」
お皿とフォークを机に乗せ、優しい笑みを見せたお母さん。
私はその後ろ姿に、そっと手を振った。
──ドクン、ドクン。
一人になった私は、早速受け取ったばかりの箱に手をかける。
……この中には、どんなケーキがいるのかな?
考えてはドキドキが止まらない。
よし、開けるわよ。
ふぅと一呼吸おいてから、私は高鳴る鼓動でそれを開いた。
その刹那。
「わぁ……っ」
思わず溜め息が出た。
目に飛び込んできたそれらが、まるで宝石みたいに眩しかったから。
どれもおいしそうだけど……やっぱり、これね!
一つ選んで、私はそれをなるべく崩れないようにと丁寧にお皿に運んだ。