「ちくしょー。ほんとはかっこよく1位でもとって、俺が芽衣の気持ち変えてやりたかったのに……」

「……っ」

「情けねぇよな」


何言ってるの。

情けないなんて、そんなこと全くない。

あなたは、とってもとってもカッコイイよ。


「違うわ。私が決心できたのは、宗谷くんのおかげ。宗谷くんが私の心を動かしてくれたのよ? だから──」

「あーもう無理我慢できねぇ」

「え……ひゃあっ!」


その瞬間、私は宗谷くんに抱きしめられていた。

鼓動が急加速する。

きゅーっと、胸が締め付けられる。

なになになに……!?


「一緒にケーキ完成させて、そんでもって一番にお母さんとこ行って、それ食べてもらおう。それから全部、思いぶちまけろ」

「うん……」


……ありがとう。

ありがとう、宗谷くん。


私、絶対頑張るよ。


優しい温もりを感じながら、それに応えるように、私は宗谷くんの背中に腕を回した。