宗谷くんと別れ、駅の中へ入る。


『乾先輩、さっきはごめんなさい。
お誘い嬉しかったです。
お時間が合えば、今度ぜひ!』


動く電車の中、私は急いでメールを書き始めた。


『あと、宗谷くんとのことですが、』


そこまで打って、ピタリと手を止める。


明日のスイーツコレクション。

今まで意識してなかったけど、宗谷くんと二人きり、なんだよね……。

男の子と出かけるって、普通に考えたらすごいことなのに。

スイーツコレクションのことで頭がいっぱいで、全く気がつかなかった。

……で、でも、決して“デート”なんかじゃないもの!


『本当に何もないので(>_<)』


私はそう打ち込んで、えいっと送信した。


未知なる明日。

心から楽しみではあるんだけど……同時に、不安な気持ちもあった。


いったい、どうなっちゃうんだろう……。


胸の中で入り混じる複雑な感情に、私は溜め息をつくしかなかった。