秘密の相談相手

信濃涼介とは、中学3年の頃付き合ってた人。

私の初恋の人でもある涼介は、私の中でとても大きな存在だった。今でも。

いつも真面目にサッカーやって、ずっとサッカーやって、どんな時でもサッカーやって。という感じで昔からサッカーしかやってなった。

私はそんな涼介が好きだった。

1つのことに一生懸命頑張れてすごいなって尊敬してた。

涼介はそれだけでなく、優しい。

私のことを気にかけてくれて、大事にしてくれた。

なのに、あの日…。


中3の受験シーズン真っ只中の時だった。

部活も引退していたため、涼介と一緒に帰っていた。


「寒いね〜。暑いのはやだけど、こんなに寒いのはやだね。」

「…だな。」


その日は、私が話しかけても少し素っ気ない返事ばかり返ってきていた。


「涼介はさ、どこの高校志願してるんだっけ?」

「……西高校。」

「そーなんだ、勉強頑張ってる?私は全然だめでさー…。」

「麻弥。」


さっきまで隣を歩いていた涼介が止まる。

私は振り向き、涼介を見る。

俯いたまま何も言おうとしない涼介。


「どうしたの…」


私が言いかけた時、涼介の声と重なった。


「俺、西高校に推薦で行くんだ、サッカーの。」

「推薦?すごいじゃん!おめでとう。」


深刻そうな顔をするからどんな事かと思った。

でも、涼介の表情は曇ったまま。


「だから、あのな……。」


何かを言いたそうにしてるけど、この先を中々言わない涼介。

もう冬なので、外は段々暗くなってきた。

風が吹き、マフラーの中に入れていた髪の毛がふわりと動く。


「ねぇ、涼介……」

「…別れよう。」


名前を呼んだ瞬間、私はそれから声が出なかった。

何を言われたのか理解できず、頭の中が真っ白になる。

目の前には涼介がいるのに、焦点が合わずにぼやけてしまう。

別れる…?

私と、涼介が?

立っているのがやっとで、声を出そうにも、口が動かない。


「ごめんな、麻弥……ごめん。」


頭を下げて謝る涼介を見るだけしかできない。

何を言っているのかわからない。


「な、何で……私のこと、嫌いになっちゃった?」


小さな声で、何とか振り絞りやっと出た声。


「……高校はサッカーに集中したいんだ。」


私はサッカーに負けた。

そうだよね、高校とか進路とか大事だもん。

涼介は、私よりサッカーを選んだだけ。

前から知ってるじゃん、涼介はサッカー馬鹿だって。

必死に理解して答えを出そうと頭の中で考える。

でも、そんなの意味なくて、目の前がぼやけて、目頭が熱くなる。

瞬きしていないのに涙が溢れる。


「麻弥…。」


私に手を伸ばす涼介。

でも、私はその手を拒んだ。


「うん、わかった。受験生だし、進路とかあるしね。私と付き合ってる暇…ないもんね。」

「おい、麻弥…!」

私は泣きながら、鼻も目も赤くさせ、不細工な顔して別れを告げた。


「バイバイ…。」


涼介の傍から離れ、家までずっと走った。



これが、私の終わった恋。


あれから2年以上経ち、今週涼介に会う。


試合を見に行くのは、全然いいんだけど、どうしても気まずい。

いや、むしろ緊張する。


なんとか、涼介と会いませんように…。