「……ん?なした?」
風様は玄関のドアを開けるのをやめて、こっちを振り向いた。
「あ、いや。なんでもないんです」
とっさに彼のブルゾンから手を離し、私も自分のスニーカーを履くために、その場にしゃがむ。
「まだ、俺にいてほしい?」
「あはは。軽くホームシックになりかけたのかもしれませんね」
それまで、ばあちゃんと二人暮らしだった私にとって、桜宮家で過ごした二年間は、賑やかな家族ができたみたいで楽しかった。
旦那様からは、高校を卒業しても使用人を続けることを勧められたけど、私がそれを断った。自立するために。
風様は玄関のドアを開けるのをやめて、こっちを振り向いた。
「あ、いや。なんでもないんです」
とっさに彼のブルゾンから手を離し、私も自分のスニーカーを履くために、その場にしゃがむ。
「まだ、俺にいてほしい?」
「あはは。軽くホームシックになりかけたのかもしれませんね」
それまで、ばあちゃんと二人暮らしだった私にとって、桜宮家で過ごした二年間は、賑やかな家族ができたみたいで楽しかった。
旦那様からは、高校を卒業しても使用人を続けることを勧められたけど、私がそれを断った。自立するために。

