「世間的にはまだまだ許されない恋なのかもしれないけど、私は応援しますよ」



「……世間?」




いや、世間は関係ないだろ。




「この辺りではそういうカップルもいないけど、きっと都会ではよくあることなんだと思います」




なんか話が噛み合っていない気がする。世間とかそういうカップルって、一体なんの話をしているんだ?




「でも、もっと早く教えてくれたらよかったのに。それでいままで我慢していたんですね。確かに同性愛って身近に少ないですからね」




……まさか、こいつ、諒を男だと勘違いしてる?




「……あのさ、一応言っとくけど、諒は女だからな」


「え、そうなんですか?あれ、私、なんで男だと思っていたんだろう」




諒が男。くだらなさ過ぎて笑いがこみ上げてきた。こんなに笑ったのは結構久々かも。



なんだかあれこれ説明するのも馬鹿みたいに思えてきて、俺は結衣に一言だけ「ありがとな」と伝えた。




そして、そんな俺を見た結衣は、最後にこう言ったんだ。




「今の笑った顔は、写真の顔にちょっと似てましたよ。東京でも、どうかお元気で――」