――諒は俺よりも三つ年上だ。最後に彼女と二人きりで話したのは、俺が中学を卒業する頃、つまり諒が高校を卒業する頃だった。



特に気温がぐんと冷え込んだその夜、俺が自室で受験勉強にラストスパートをかけていたところに、諒からラインの通知があったのだ。




『外で待ってる』




驚いて窓の外を見たけど、辺りが暗くて彼女がいるのかどうかわからない。俺はコートを羽織り、確認のために外に出た。



家の正門前に、見覚えのある車が停まっている。当時はまだ住み込みではなく、自宅から通勤していた信子さんのものだ。



運転免許を取り立ての諒は、祖母の車を運転して、一人でここまで来たらしい。俺に気づくと、運転席のドアを開けて車から降りた。




「こんな時間にどうしたの?もしかして家、抜け出してきた?」


「ばあちゃんには、友達の悩み相談を聞いてくるって言って出てきた。車使ってることは黙ってるけどね」




諒がいたずらっぽく笑ってみせると、辺りに白くなった息がふわっと広がった。