「あっ、ユッケ!ゴン太、見なかった?」



「ゴン?さっき、あっちの方に走ってったんだけど……また、なんか言われたの?」



「そうなの!今日のあたしのコーデ、逆ダイコンって言われたんだよ、ひどくない?」




桜宮陽菜はそう言って、その場でくるっと回って自分の服装を確認した。



……白のオーバーサイズのニットに、深い緑のミニスカート。俺はいいと思うけど。




だけど、ゴンが言った『逆ダイコン』っていうのもちょっとわかる気がして、思わず笑いが込み上げてしまった。



「ねえ、今、笑った?ユッケまで、サイテーなんだけど」


「いてっ、骨折れるって……」


「ふふっ、カルシウム足りないんじゃない?まあいいや、ありがと。じゃね!」




俺の腕を思いっきり叩いた陽菜は、満足気に笑ってから、廊下の向こうに走っていった。