――エスカレーターから結衣の姿が見えた。涙はないようで少しホッとした。



「海様、ココアなんて飲んでる。なんか似合わないですね」


「ああ、これね……ところであいつは?一緒に車で送っていくけど」


「私もそう言ったんですけど、もう少し景色を見ていくんですって」



遅い時間だけど、展望台からは駅までのシャトルバスが出ている。だから心配することはない。



「結衣、平気か?」


「……はいっ」



結衣は強い。だからこれからもきっと大丈夫だ。



俺はここで結衣を待つ間、祐基と話したあの日、彼とした最後のやりとりを思い出していた――