――ガコンと自販機が大きな音を立てると、俺は取り出し口に手を入れて温かい缶を取り出した。



「……あれ」



ホットコーヒーのボタンを押したはずだけど、取り出し口の中で手にしたそれは、想像していたものよりも一回り大きく感じた。




やっぱり間違っていた。ホットコーヒーの隣に並んでいた、ホットココアのボタンを押していたみたいだ。




……まあ、別にあったかければなんでもよかったんだけど。




展望台の一階ロビーのソファーに腰を下ろし、ぼんやりと意味もなくインフォメーションの看板を見つめながら、ホットココアに口をつける。