――ここに来ると、まだ小学生だった頃の、あの子のことを思い出す。




「……どうして展望台なんかにきたの?」



「ここはこの街で一番高いところにあるでしょ?だから、天国に一番近いところなんだっておばあちゃんが言ってたんだ」




天国。俺にはピンとこなかった。だけど親を亡くした彼女が言うと、なんだか説得力があるように思えた。




「これから毎月の命日には、ここに来ようと思うんだ。でも平日は学校があって無理だから、第三の土日のどっちかに来ることにしたの。


ここに来るためにお小遣い、200円多くもらっているんだ」




「ねえ、そのときオレも来てもいい?」




「うーん、たまにならいいけど。200円は自分で出してね――」