グラウンドで南田祐基を見た瞬間に、見たことのある奴だと思った。そしてすぐに、展望台に一人でよく通っている、あいつだとわかった。



展望台で見た南田祐基も、やっぱり周りとは違う空気をまとっていた。グラウンドを駆ける今の姿とも雰囲気は違う。



試合がハーフタイムに突入した途端に、俺はあいつと目が合った。


美月と二人で席を立ち、トイレに向かう結衣の後ろ姿を、あいつはずっと見つめていたのだ。



そのまなざしをきっかけに、遠い記憶の中の光景が蘇ってきた。結衣の父親の葬儀で、ずっと結衣のことを見つめていた少年。



そう。そいつが、南田祐基だった。