――物心ついた頃には、自分がサクラグループの跡取りだという自覚があったんだ。




会社を継ぐための特別な教育をされていたわけではなかったけれど、両親や信子さんはきっと俺をそういう意識で育てていたんだと思う。



……今じゃ考えられないだろ?俺、実は小さな頃、かなり落ち着きのない子どもだったんだ。



逆に、風の方がしっかりしていたくらいで。



小学校一年生の時の担任ってさ、若い女の先生だったんだ。調子に乗って、よく泣かせていたよね。母さんも学校に呼び出されたりして。



とにかく、どうしようもないガキだったんだよ。