「俺は、父親も母親も元気だから、結衣の悲しみは想像がつかなかった。


あの時の腫れた結衣の目を見て、ただ漠然と、強い女の子なんだって思っていたんだよね」



「それなのに、最近まで忘れていたんですよね。ひっどい」




「うん、ごめん。


実はね、陽菜達が家出したとき、落ち込んでいる結衣を見たんだ。


そっからどうするんだろうって思っていたら、いきなりほっぺ叩いてさ、『よっしゃ、頑張ろう!』って。


そこで思い出したんだよね。結衣のこと」