「……うちの父さんが小さい頃、よく結衣のお父さんに面倒を見てもらっていたって聞いていたよ。


だから結衣のお父さんが亡くなったとき、うちの父親もお葬式に参列したんだ」



「そうだったんですか」



長男の海様は、小さい頃から旦那様に連れられて、冠婚葬祭によく出向いていたそうだ。



「結衣のことは印象に残っていたんだ。


両親を亡くして一人になってしまったというのに、あの時の結衣は泣いていなかったんだよね。



……だけど、よく見たら目元は真っ赤でさ。



みんなの前では気丈に振る舞っていたんだろうなって」