「離さないで……」



祐基が何も言わないまま、私の手を引いて前を歩いていく。


だんだんと光が差す出口へ近づいてきた。



トンネルを抜けると、眩しい光に目がくらみ、まぶたをぎゅっと閉じる。



祐基の気配が突然消えた。




「……あれ、夢?」




目を開けると、自分の部屋だった。時間を確認しようと枕元の携帯を探す。



まだ23時だ。いつの間にか寝ていたなんて。