……ほんとは、無理して明るく振る舞っていたのかも。そう考えると風様自身、さっきのことを後悔しているようにも見える気がする。



――だから今、お風呂上がりの風様とばったり出くわすと、思わず言葉が出てこなくなってしまったのだ。




「……お前も早く風呂入れよ。雨で身体冷えてんだから」





彼が無理していることをはっきりと感じて、胸がちくっとする。風様の笑顔は少し硬いように感じた。




「ありがとうございます。明日の下ごしらえをしてからお風呂に入ります」




今日は仕事は休みだから、下ごしらえなんてほんとはないんだけど……


気まずくなってキッチンに向かおうとすると、後ろから風様に声をかけられる。



「なあ、今忙しい?少し話できない?」