……雨、すぐ止むといいけど。



「なんかさ、俺、ちょっとわかんなくなってきてんだよね」


「え、何がですか?」



「さっきまで絶対にないって思ってたんだ。

……でも、今はわかんない。相当自分でも戸惑ってる」




風様は降り続ける雨をぼんやりと見つめたまま、噛みしめるようにゆっくりとつぶやいた。


強くなってきた雨脚が東屋の屋根を叩きつけて、その声ははっきりと聞こえなかったけど……




「俺、結衣のこと好きになりそう」




……だけど、風様はそう言った気がした。