「そ、それから今日は…」



今なら素直にお礼が言えそうだ。
そう思って口を開いた瞬間。




「どっかに捕まれ!!」




そんな竜の声を聴いた次の瞬間、急ブレーキで体がガクンと揺れ、ハンドルを切ったのか勢いよく車が曲がる。
強い衝撃に身体を打ち付け、私はいったい何が起きたのかわからなかった。

いったい、何が起きたのだろう。
後部座席でシートベルトを締めていたおかげか、特に怪我はしていないけれど、打ち付けた肩としがみ付いていた手が痛い程度。




「紗千さん!鹿島!大丈夫か!!」



後ろをついてきてくれていた久住さんと吉沢さんが駆け付けてくれたみたいだ。
私は自力で後部座席の扉の鍵を開ける。




「紗千さん!ケガは?痛いところは?」

「大丈夫です…。打ち付けた肩とかが少し痛いくらいで…」

「そう…。よかった」



久住さんが私の身体を支えながら車から降ろしてくれる。
立つこともできるし、問題なさそう。