「なんでも、昔子どもの幸子お嬢様と出会い、幸子お嬢様の言葉に救われたことがあるらしくてね」

「救われた…」



救われた、という事は落ち込んでたのかな。
鹿島さんの過去に何があったんだろう。



「細かい事は、俺も知らないんだけどな。あ、この事俺から聞いたって秘密にしといてな!」

「あ、はい」

「まぁでも、だからって今回の事は許される事じゃないからな」




久住さんは少し苦い顔でそう言った。
自分を救ってくれた人か。
それってきっと、その人にとってはとても大きな出来事で、恩だって感じるよね。
恩人を守りたいそう思うのは当然だ。



「あの、犯人は捕まったんですか?」

「いや、それが…。ナンバーから持ち主を割り出してもらったが盗難車だったようで。オートバイだけは乗り捨てられたものが見つかったんだけどな」

「そうですか…」




犯人は今もどこかにいる。
そう思うと怖い。