「この度は、本当に申し訳ありませんでした」



深々と頭を下げるのは社長である久住さん。
謝られ疲れた私は小さく息を吐いた。



「あなたを守ることも我々の大事な任務だったのに、恐ろしい思いをさせてしまいました」

「散々、鹿島さんに謝ってもらいました。本当にもういいんです」

「そういうわけにはいきません」



久住さんも、鹿島さんも責任感は強いんだ。
仕事に誇りを持ってる。



「あの、一つ聞きたいんですけど」

「はい?」

「鹿島さんと幸子お嬢様の関係って…」



鹿島さんにとってのお嬢様はなにか特別なものを感じる。
それが恋心なのかそれ以外のものなのかまだ判断できかねるけれど。



「関係は、護衛対象者とボディーガードです」

「でも、」

「でも、鹿島は幸子お嬢様に特別な思いがある事は確かです」

「特別な思い…」




なんとなく感じてた。
私に対する接し方と幸子お嬢様への接し方とは随分違ったもん。