「あの!」
しばらくして病室から出てきた父親を呼び止めた。
「ん…?君は…。どこかで……」
「あの、聞きたいことがあるんですが」
俺を見てなにやら考え込んでいる父親の方は放っておいて矢継ぎ早にそう聞いた。
「聞きたいこと?」
「あの、あんなに彼女を大切にしているのに、借金なんてしたんですか」
「…そうだよな。本当に迂闊だったと思う。同級生に頼み込まれて断れなくてな。信用してた友だちだったから保証人になったんだけど…」
「え…」
「そう思ってたのは俺だけだったのかな」
父親は悲しげに笑った。
「借金は仕方なかったにしても、どうしてそのカタに身代わりに差し出すようなことをしたんですか」
「俺だってそんなことしたくなかった!学校に見送ったらその夜には勝手にそうなってた。何度も宇都木には抗議した。けど、聞いてもらえなかったんだ」